古民家を活用した薪窯のパン屋さん佐久
2025年10月24日
プロフィール
お名前
平井保子さん
年代
40代
居住地
小諸市

長野県の東部に位置する小諸市。北には浅間山、南には千曲川が流れる自然豊かな街です。江戸時代には小諸藩の城下町として、また北国街道の宿場町「小諸宿」としても知られ今でも当時の雰囲気を感じることが出来ます。
小諸市与良町に2023年オープンした「BAKERY HOTOTOGISU(ベーカリー ホトトギス/保時鳥)」。店主の平井保子さんは元々石材店だった建物を利用して、あこがれのパン屋さんを開きました。
薪窯のパン屋さんにあこがれて


神奈川県川崎市出身の平井さんは元々料理が好きで専門学校へ進学。授業で体験したパン作りに魅了され、卒業後は「薪窯のパン屋さん」を開きたいと店舗となる物件を探していたといいます。「大きい薪窯を置ける物件は都内近郊ではなかなか見つからなくて。それなら移住かな、となんとなく思って。」母方の親戚が御代田町に住んでいたことから親しみのあった長野県への移住を考え始めたそうです。自治体がひらく移住相談センターで小諸市を勧められ、すぐに見学へ。「(市の移住支援)担当の方が案内してくれたとき、街の人が話しかけてくれたり手を振ってくれたり。そこで小諸を好きになっちゃって。最後にこの物件を見た瞬間に、「あ、ここだ」とビビッときて最速で決めました。」
ありきたりではない間取り

物件は築年数約100年、元石材店の古民家でした。「(見学の)数か月前まで人が住んでいたこともあり生活感や人の温かみが残っていて、そこが良かったのかもしれません。」
坂の上に建っているため、家の中も傾斜のある土地に合わせた構造となっており、細長い敷地を活かした間取りが特徴です。「建物のありきたりではない間取りやこぢんまりとした玄関がかわいらしくてお気に入りです。」と平井さんは話します。1階は店舗、2階は居住スペースとして利用。コンパクトなサイズ感も住みやすさにつながっているといいます。
人とのつながりから生まれたパン

「小諸の印象はとにかくみんな人懐っこいことです。感度の高い大人がたくさんいて楽しいです。市役所の方とも仲が良く(いい意味で)みんな遊んでいます。」移住前から市の移住支援担当者の勧めで地域のイベントなどに参加していた平井さん。住み始めるころにはすでに地域のコミュニティにすっかり馴染んでいたといいます。
「ひとりで小諸に来たのでひとりでがんばろうと気合いを入れていたんですけど、思いのほかみんなが手伝ってくれて。みんなが応援してくれるムードがあります。こっちにきて覚えたのは人に甘えることです。」と平井さんは笑って話します。
店の隣にあるコミュニティスペース与良館は20名ほどのメンバーがおり、毎日数名が集まってお茶会やイベントを楽しむ場所です。冬は餅つき、夏はお祭りやバーベキューなど季節ごとの様々な催しが開かれます。
平井さんは移住当初からこのお茶会に参加。ゴミの出し方などちょっとした困りごとがあれば、都度その場で相談していたといいます。パン作りに必要な薪が手に入らず苦戦していたときは、寄合の仲間の紹介で薪の生産者とつながることが出来ました。パンを置くためのラックは、大工仕事が得意な仲間の手作りです。パンの材料はこだわりの県内産。地元の和菓子店店主の紹介を通じて県産の小麦粉を扱う企業と出会いました。
今では「パン作りに使ってほしい」と地元の方が食材を持って店を訪ねてくることもしばしばあるのだそうです。
今でも毎日のようにお茶会に参加しおしゃべりを楽しむ平井さん。パンの試作を味見してもらうこともあるのだとか。「忖度がないので、厳しい意見をもらうことも。喧嘩になることもあります。」と笑って話します。
平井さんは「これからももっと濃いつながりを広げていきたい。」といいます。



