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ドーナツとコーヒーで佐久穂町に交流の拠点となるカフェづくり佐久

ドーナツとコーヒーで佐久穂町に交流の拠点となるカフェづくり

プロフィール

お名前

塚原諒さん

年代

30代

居住地

佐久穂町

居住年数

3年

暮らしの経緯
大学卒業後→大学院で日本文学研究後、震災のボランティアスタッフとして宮城に行き、その後、不動産関係の会社で鹿児島、その後、鳥取と日本各地を渡り歩き、2018年5月12日に妻と佐久穂町へ移住し、ドーナツカフェmikkoをオープンする
暮らしの中で大切にしていること
仕事と生活が一体となった暮らしの中で、自分たちの「居心地良さ」をきちんと担保する
これからの暮らしの希望
地元の方と町外の方の接点となるこの店をできる限り長く続けていける努力をしたい
住まいの変遷
群馬県→東京都→宮城県→東京都→鹿児島県→鳥取県→長野県佐久穂町(店舗兼住居)

人や場所、さまざまなタイミングと偶然が重なって始めた
ドーナツカフェ

店内でコーヒーを入れる塚原さん
写真:塚原さん提供 地域の皆さんと改修中の店舗壁のペンキを塗っている様子

長野県南佐久郡 佐久穂町は長野県の東に位置する人口1万人ほどの町で、日本一美しいと言われる白樺群生地や八千穂高原、苔の森に囲まれた美しい白駒の池などで有名な山麓の町です。

塚原さんは日本初のイエナプランスクール設立の事務局員として2017年にこの佐久穂町に奥さまと移住後、住居に附設していた空き店舗を改装し2018年ドーナツカフェをオープンしました。

 

塚原さんは群馬県高崎市出身、大学院修了後に被災した宮城へ行きボランティアスタッフとして活動したのち、鹿児島の会社に就職したり、鳥取のパン屋さんで働いたりと日本各地で働いていました。

そんな中、宮城で一緒に活動していた方から「2019年に長野県佐久穂町に新しい学校をつくる準備をしており、事務局として現地に住まないか」というお話を受け、開校準備の現地スタッフとして2017年秋に佐久穂町へ移住しました。

開校準備の活動に追われる毎日の中、塚原さんには「佐久穂町の人たちと交流できる場所をつくりたい」「佐久穂町に来た方が落ち着けるカフェのような場所が欲しい」という「交流の場を自分で持つこと」に対する気持ちがあったそうです。

そこで塚原さんは住居の前にあった5坪ほどの小さな空き店舗でカフェを始めたいと大家さんに交渉。

大家さんもこの場所を「町に開かれた場所にしたい」という気持ちがあったそうで、塚原さんの申し出を快諾しました。

「町のためにカフェをやりたいという自分の気持ち」「空き店舗」「まちづくりに関心のある大家さん」といった、さまざまな条件やタイミングなどいくつもの偶然が重なったことから塚原さんはここでカフェを開くことを決心し、2018年4月に改装を始めました。

大家さんが建設会社の代表だったこともあり、改修工事は地元の職人さんたちの手を借りながらわずか1カ月で完了し、翌月2018年5月にドーナツカフェをオープンしました。

「自分一人だったら佐久穂町に移住して半年後に店をやろうなんて絶対できなかった」と塚原さん。

塚原さんは現在、奥さまと二人でお店の経営と、佐久穂町にあるイエナプランスクール大日向小学校の地域連携ファシリテーターというお仕事を兼任して生活をされています。

ところどころに当時の雰囲気を残した店内

以前の店舗、当時のままの雰囲気が残る店内
トイレの壁紙
 

お店の改修については塚原さんがラフを描き、それを大工さんに見せて相談していく形で進められたそうです。

「もともとこの場所でお店をやられていた当時の空気をうまく引き継がせてもらえるよう、残せる部分はそのまま使わせてもらうという方針にしました」という塚原さんの言葉通り、床は当時の打ちっぱなしのコンクリート、天井の板、鉄骨は以前の天井を抜いた状態のままです。

当時の雰囲気は残しつつも随所に塚原さんの工夫やこだわりが見られます。

例えばトイレの壁紙はあえて店内と違う柄が貼られていて、これは飲食スペースとの心理的な距離を離すための工夫なのだそう。

町内・町外問わずみんなから愛されるドーナツ

甘くておいしく、油っぽさが全くない看板商品のドーナツ

ドーナツカフェにした理由について塚原さんは「ドーナツはシンプルでわかりやすく、子どもから大人までみんなに愛されていますし、外でお茶をするということに馴染みの少ない年配の方が多い地域でも近所の方への手土産にも持っていきやすい。近所の方も町外の方もこの場所へ来やすくなるかもしれないと考えてのことです」とのこと。

塚原さんの読み通り、来店されるお客さまは地元の方と町外の方で半々くらい、近隣の佐久市や小諸市からもドーナツ目当てで通う常連さんも多いそうです。

お話を伺った日もドーナツとコーヒーを買ってその場で塚原さんとの会話を楽しむ方、お土産に買っていかれる方、さまざまなお客さまが来店されていました。

大人気のドーナツですが、完全手作りのため1日40~50個ほどしか作っておらず、早いときはお昼過ぎには売り切れてしまうそう。

ドーナツに使用している小麦は地元の農家さんが生産したものを使用していて、「ドーナツを買ってもらえれば買ってもらうほど地域にお金が流れていく。こういったことも町のドーナツ屋としてやっていきたいことの一つです」と塚原さんは話します。

佐久穂町のウェルカムセンターとしてお店を続けていきたい

mikko店内で地元のお客さまと塚原さんの会話の様子

「もともとお店のコンセプトが、佐久穂町にまず最初にここに来てもらって、『ようこそ』と言える場所、東京ディズニーランドのウェルカムセンターのような場所をイメージしました」と塚原さん。

「佐久穂町は今、移住する方が増えたことでいろいろな背景を持った方が増えてきました。佐久穂町はもともとそういう雰囲気がありますが、互いに違う価値観を許容しあっていろいろな方が共に暮らせる町になっていくといいなって思っています。そのために僕ができることは店を開け続け、町内の方と町外の方の接点になる。そうすることでみんながうまくやっていける町になる手助けができるんじゃないかな、と思っています」

塚原さんは佐久穂町のウェルカムセンターとして、きょうもドーナツを揚げ、コーヒーを入れてお客さまをお迎えしています。

 

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