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地域とつながる、移動販売車のある暮らし上伊那

地域とつながる、移動販売車のある暮らし

プロフィール

お名前

白鳥杏奈さん

年代

20代

居住地

辰野町

居住年数

9年

暮らしの経緯
女性が働きやすい環境を自分でつくろうと思い、自分が持てる最小単位の店舗形態を考え、移動販売車にたどりつきました
暮らしの中で大切にしていること
伝統の甘酒と地元の食材を通して辰野町の魅力と伝統を伝えたい
これからの暮らしの希望
地元の若い世代のフォトグラファーやアート、アパレルなどにチャレンジする仲間たちと企画展を行い、県内で頑張っている若い世代のことをもっと知ってもらいたい
住まいの変遷
一軒家の実家暮らし→専門学校時代はアパート暮らし→地元に戻り、相棒の移動販売車と実家暮らし

「“食”っていうのは、人を良くするって書くんだよ」と
教わった高校時代

夜の移動販売車
甘酒が完売し日が暮れても、白鳥さんの周りはいつも笑顔の人でいっぱい

自家製甘酒を県内辰野町を中心に販売する白鳥杏奈さん。相棒はブルーの移動販売車。自宅にいるより長い時間を共に過ごす日もある、いわば、第2の“家”のような存在です。

 

そんな白鳥さん、実は元々、甘酒が苦手だったと言います。しかし、高校生の頃、地元の女性が辰野町の食材で作った料理を出してくれた時に、「米麹」を使った甘酒を飲み、そのおいしさに感動。その後の甘酒作りにつながります。

 

何も知らなかった高校時代「辰野町には魅力がないと思っていた」そうですが、「地元の食材だけで、こんなにおいしい料理が作れるのか」と気づかされたと言います。

自分らしい働き方を追求した、移動販売車
「フットワーク良く動ける、私にピッタリ!」 

営業中の移動販売車
ノンアルコールで飲みやすい白鳥さんの甘酒は小さい子どもから大人まで、大人気

高校を出て名古屋調理師学校を卒業後、地元の企業に3年間勤務。働く中で結婚してからの女性の働き方の難しさを知り「女性は結婚や妊娠•出産もある。結婚してからも続けられる職場を自分で作ろう」と考えるようになり、「いつか自分のお店を持ちたい」と思うようになりました。

 

そして、自分のペースで働ける環境をつくろうと模索していたある日、「移動販売車だ!」と閃きます。「もし、結婚した人が遠くの方だとしても、移動販売車ならどこでも連れて行ける」。そうして、職場のみんなに応援されながら退職の日を迎え、白鳥さんの夢が走り出します。

 

 

「私、移動販売車をやりたいんです!」ある日、車の修理をしに寄った整備工場での、何気ない会話でした。それから数日後…「これから、うちの工場でも移動販売車をつくるんだけど、一緒にどう?」と偶然の誘いが。それからは、移動販売車製作にとりかかる毎日となりました。

「こういう風にしたらおもしろいんじゃないですか」

「こういう風にもできるけど、どう?」

試行錯誤を重ね、ついに完成。

「大変なこともいっぱいあったけど、皆の気持ちと愛情がこもっているから愛着しかない!」と振り返ります。 

 

その"相棒"に、自家製甘酒を乗せた「移動式甘酒屋an’s」は、2016年からさまざまな場所で出店しています。

地元のクラフトイベントに出店したり、上伊那農業高校ともコラボ商品を作ったり。辰野町をはじめ、伊那市や塩尻市、松本市、安曇野市へも出張し、多くの出会いがありました。

 

長野県の酒蔵数は、なんと日本で2位。甘酒は、昔から酒造りのオフシーズンである夏季に作る文化が根付いているのです。砂糖が貴重だった江戸時代、庶民が手軽に飲める甘味として疲労回復効果のある甘酒は、農作業などで体力を消耗しやすい夏にふさわしい“飲む点滴”として親しまれてきた歴史があります。

 

白鳥さんの甘酒は地元のお米と米麹と水にこだわり、それを豆乳で割って、地元産季節のフルーツの味を組み合わせた100パーセント長野産です。

「甘酒の白色が映えるブルーの移動販売車。
色は15回も作り直し、やっと好みの色に完成!」 

メニューの貼り紙
定番の味の他に季節によって、マロン、カボチャ、イチヂク、ブリーベリー等の新作も

移動販売車のカラーは、試行錯誤の上、「白が一番映える」ブルーを選択。白鳥さんのこだわりが現れています。最近では酒蔵で麹について勉強。麹づくりや酒造りを学びながら「よりおいしい甘酒を作りたい」と励んでいます。

そこには、「高校時代は分からなかったけど、県外に出て帰ってきて、辰野町の魅力に気づいた。特に同じ思いの若い子に、甘酒を通し、地元の魅力や日本の伝統文化を伝えたい」という思いがいつもあります。

 

白鳥さんのところには、若い人たちが集まります。

「自分も白鳥さんのように、やりたいことを追求して、好きなことを仕事にしたいんです」

「今は、ムービーを製作中なので、出来たら見てくださいね」

と口々に白鳥さんに報告。頼れるお姉さん的存在になっています。

 「本当にすごいんですよ、この子は
地域の人とか来る方に 幸せを与える子なんですよ」

店舗「フジタヤ」外観
店舗「フジタヤ」店内
酒造りや麹について学んでいる酒蔵の先輩と朝のフジタヤにて

移動販売を続ける中で『普段はどこにいるの?』と言う声が増え、2019年にはついに辰野町商店街に製造所兼ギャラリースペースを併設した店舗「フジタヤ」をオープン。今後はこの空間で甘酒の他に、地元の若い世代のフォトグラファーやデザイナー、アートなど同世代のチャレンジを続ける仲間と企画展なども行い「県内で頑張っている若い世代のことをもっと知ってもらいたい」と夢を話します。

店舗「フジタヤ」店内

 

耳寄り情報

移動販売車での創業について、地元で開かれた創業セミナーを受講し、とても参考になりました

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