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食を通し、多くの人を幸せにする暮らし北アルプス

食を通し、多くの人を幸せにする暮らし

プロフィール

お名前

玉城健さん

年代

30代

居住地

大町市

居住年数

8年

暮らしの経緯
東京出身で妻との結婚を機に、妻の実家がある大町市で農業をやろうと決意し大町市へ
暮らしの中で大切にしていること
食を通し一人でも多くの人を幸せにする
これからの暮らしの希望
周りの農家や店のみんなが楽しく豊かな生活が送れるようにしたい
住まいの変遷
東京では実家の1軒家→結婚を機に県内大町市へ移り貸家→古民家を購入し住居兼店舗をリノベーション

「農家のためになる仕事をしたい」東京から大町へ

玉城さんの田んぼ
写真:玉城さん提供 独立して米作りを始めた玉城健さん

東京出身の玉城健さんは、実家で祖父母が米作りをし、子どものころから農業が身近にありました。大学卒業後は、「農家のためになる仕事をしたい」と都内の青果市場に就職しますが、妻との結婚を機に妻の実家がある県内大町市へ移り、農業の道へ。「今度は人が作った農作物ではなく、自分で作った農作物を売りたい」と、1年目は米作りの農業法人で働き、冬は酒蔵で酒造りに携わります。

また、2年目には別の農業法人で働き、野菜作りも経験。その2年で「農業は初期投資に費用が掛かり、大規模にやって稼ぐのは大変だ」と身をもって経験し、3年目には独立して「小さくやって利益が高まるやり方」を模索します。

「自分で畑を借り野菜を育て、その野菜を使ったピザを移動販売しました。その時、自分たち農家が育てた野菜を顔が見えるかたちで商品にして提供すると、お客さんが喜ぶことが分かりうれしかったです」と消費者に接し商売も経験。

生産、販売、料理と常に挑戦しつづけた、濃密な2年間

玉城さんの畑
写真:玉城さん提供 北アルプスを背に米作りに励む玉城健さん

しばらくすると、米作りをやめた農家から「機械も全部あるし、米を作らないか」と声がかかり、2.5ヘクタールの田んぼで米作りも始めるように。引退する米農家が増えるたびに、「ここも作ってくれないか」とお願いされ、4.5ヘクタールの広さになりました。やがて...

「自分で多くのお米を売るには食べてもらえる店をつくらなければと思い、和食の勉強をしに、市内の和食店の厨房でも働き始めました」と玉城さん。

春から秋に米を作り、農閑期の冬は酒造りをし、その合間に移動販売も行い、さらに和食屋でも....。生産、販売、調理と食に携わる毎日でしたが、息子や娘と遊んでいる時の子どもの笑顔を見ると疲れも忘れ、常に前へ進むことができたと言います。

そしてある日...「和食屋で一緒に働いていた板さんに『お店を出したい』と相談したら、『協力するよ」と快諾をいただき、一緒にお店を出すことになったんです」

空き店舗をリノベーションした和食屋「織是」

和食屋「織是」の前
織是で働く夫の健さん、妻の美穂さん、美穂さんの母、えつこさん

店舗はピザの移動販売時に厨房を借りていた、そば屋の空き店舗兼住居を購入しリノベーションしました。

「元々の造りがよかったので、業者さんにお願いしたのは、1階の店舗部分の壁を作ったり、カウンターを作ったり、あとはトイレの水回りくらいです。また、2階が住居スペースで家族4人が暮らせる広さだったことも良かったです。ベランダからは北アルプスの眺めも素晴らしいですし」

周りからは『店を持つのはまだ早い』と何度も反対されてきた玉城さん。これまでの経験を生かし、玉城さんのお米と和食歴30年の板さんの料理が織りなす和食屋「織是」は繁盛し、多くの人から応援される店になりました。妻の美穂さんと妻の母、えつこさんも一緒に働き支えています。

「心配されていた妻の母も今では一緒に働いていただいたり、周りの農家さんもいろんな野菜を持って来てくれたり、お客さんを連れて来てくれたり、そういう応援が一番うれしいです」と玉城さん。

時代の変わり目の今が、動くチャンス

お昼の店内
食を通し、たくさんのお客さんを笑顔にしてきた玉城さん

主婦や子ども連れの母親たちでにぎわう、お昼の営業。

 

常連客も「健さんは、ただ行動力があるだけじゃなく、いろんなつながりの中で次ぎに進んでいる。お料理もお米もおいしいですし、健さんらしい、思いのこもったお店です」とお気に入りです。

 

また、夜の営業はメニューを工夫し、予約制のコースメニューだけにしぼりました。そこには、「一生懸命作ったお米や農家が作った野菜の在庫を出せないようにしたい」との思いもあります。 

 

そして、時代の変わり目でもある今が農業のチャンスだと玉城さんは話します。

「農業で頑張りたいと思っている人には今の時代はすごくチャンスです。昔は農地を確保しづらかったんですが、みんなが辞めていく今は確保できるので、やる気のある人と工夫できる人にとっては、魅力的な産業になっていくと思います。それに都会にいたら農家とお店を両方やるのは難しいですが、地方だからできるという部分もあり、これからは地方の時代だと思います」

今後も、農業の振興と未来の子どもたちのために新たな道を開拓

ダムを見上げる玉城さん
玉城さんが仲間とともに水力発電の設置に向けとりくむ北アルプスの麓

常に「農家のために」と新たな道に挑戦してきた玉城さん。今後についても、農家や地域、未来の子どもたちのために一年前から仲間の農家と会社をつくり動いていることがあると言います。

「大町市は北アルプスの麓で、水資源が豊富なので水力発電をやりたいと思っています。これまで多くの農家が農地を開拓してきて、僕らの時代の農家ができる開拓というのが水力発電だと思うんです。水力発電をやることで、農業の振興と環境保全にもつながり、その利益は地域と未来の子どもたちに還元できればいいなと思います」

 

耳寄り情報

空き店舗購入については大町市の『中古住宅購入助成金』を活用し新規就農時は国の新規就農助成金を活用しました

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