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曾祖父の思いを胸に復元したやすらぎの宿北信

プロフィール

お名前

塚田 真紀さん

年代

居住地

長野市

長野市戸隠で宿屋「白金家」を営む塚田真紀さん。昭和11年に曾祖父が建てた宿屋を、真紀さんが6年前復元し今は4代目女将として宿を切り盛りしています。
長野市戸隠は長野県の西北部に位置し、北は信濃町、東は飯綱町、南は長野市中条地区、西は長野市鬼無里地区にそれぞれ接した高原の地域です。平安時代から神聖な地として栄え、歴史と伝統に満ちています。全国でも有名な「戸隠神社」や「戸隠そば」発祥の地を尋ねるために、連日多くの観光客が訪れています。

長野市戸隠

曾祖父の宿への思いを胸に復元へ

昭和11年、宿坊以外の宿として戸隠に初めて「白金屋」が創建されました。手掛けたのは真紀さんの曾祖父である塚田宇一郎さん。戸隠で切り出された栗材や欅材をふんだんに使い、その当時の財を尽くし3年かけて建設したそうです。しかし第二次世界大戦の勃発により、志半ばで宿業は廃業に追い込まれました。
時代は移り変わり「白金屋」は形を変えて、真紀さんの祖父母から両親へと受け継がれていきます。しかし平成12年になると、建物の老朽化が進み宿泊客も減少。次第に宿へお客さんを受け入れられない状態になっていきました。これでは継続が難しいと判断し、一時休業を余儀なくされました。
そんな中平成29年に転機が訪れます。戸隠の伝統的建造物群保存地区が国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)に選定されたのです。これをきっかけに真紀さんは補助金を申請し、創建当時の姿に復元することを決意。昔ながらの家屋の良さを残しながらも、訪れた人が過ごしやすい空間を目指して「白金家」が誕生しました。

白金屋外観

 

木材
白金屋ののれん

「復元していくうちに、曾祖父の宿や建物に対する思いが伝わってきました。良い木材を使ったすごい建物なのだと分かった時に、これを色んな人に見てもらいたいなって感じて、4代目をやろうと決心したんです。曾祖父の志を継ぐという思いで、宿の名前を戻したんですけど”屋”よりも”家”の方がアットホームな宿だと伝わるかなと思って『白金家』としました。」と真紀さん。

復元の苦労とこだわり

白金屋内部
白金屋の部屋

平成29年の改修工事では、「白金屋」創建当時の状態にこだわり、良い木材は残して傷んでいる部分だけを交換しました。
「今この建物が残っていることに価値がある。曾祖父から続く歴史が宝物です。人の思いが繋がっていって建物が後世まで残ってくれたら嬉しい。
何気なく始めた改修だったけれど、これがきっかけで地域全体が文化財を残そうという意識になってもらえたらいいなと思います。」と真紀さんは話します。
宿の過ごしやすさにもこだわりが詰まっています。
「来てもらったお客様に過ごしやすいと思ってもらえるような宿にしたかったので、耐震と断熱にこだわって、冬も暖かく快適に過ごせるようにしてもらいました。全館貸切にしているのは、リラックスして気兼ねなく過ごしてほしいという思いがあります。」

戸隠で暮らすこと

東京生まれの真紀さんは幼い頃から戸隠へ遊びに来ていました。祖母と母親にならって民宿を手伝う中で、自然と戸隠の自然に触れ合い、その魅力に惹かれていったそうです。
「戸隠は四季折々の自然が豊かな土地です。暮らしていても様々な変化が楽しめます。宿にいらした方は、戸隠に来ると癒される、元気になると言いますね。ここで宿屋ができて幸せです。」と笑って話す真紀さん。
これからも戸隠で「白金家」を守り続けていきます。

塚田真紀さん

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