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有機野菜にこだわる古民家喫茶店松本

有機野菜にこだわる古民家喫茶店

プロフィール

お名前

増田知巳さん

年代

40代

居住地

松本市

居住年数

4年

暮らしの経緯
10数年前に県内松本市を訪れた際、町を気に入り、その後、東日本大震災をきっかけに松本へ
暮らしの中で大切にしていること
体にもやさしく、滋味深くおいしい有機野菜など食材にこだわること
これからの暮らしの希望
里山の保全と活用をして、みんなで山の自然を豊かにしていきたい
住まいの変遷
東京時代は賃貸の長屋の喫茶店兼住居→県内松本市の古民家をリノベし喫茶店兼住居

下町情緒溢れる東京都台東区谷中から“民芸の町”松本へ

喫茶「ヤナカボッサ」の外観
喫茶「ヤマベボッサ」のベンチでくつろぐ増田さん夫妻

歴史文化と美しい町並みが残る東京都台東区谷中一。下町情緒溢れるその地で築100年の長屋の一部をリノベし、喫茶「ヤナカボッサ」を13年間営業していた増田さん夫妻。10年ほど前に県内松本市に住む友人に誘われ、訪れたのをきっかけに、夫の知巳さんは、“民芸の町”松本を好きになりました。

「名もなき職人の生活の道具だったりとか、昔の人の手仕事によって作られた陶器や木工品、織物とかの布類、あとは竹細工。そういう民芸品が本当に好きでしたので」と知巳さん。

その後、東日本大震災の数カ月前に息子が生まれ「東京での暮らしはやりつくしたこともあって、次の段階に進みたい」と、2016年から家族3人、松本で暮らし始めました。

喫茶店と居住スペースへ、古民家をリノベーション

居住スペース

1階の居住スペースで、家族だんらんのひと時を過ごす増田さん家族

 

住居は東京の頃のように古民家をセルフリノベーションしました。1階を居住スペースと厨房に、2階を喫茶「ヤマベボッサ」として営業。

「いろいろ探したんですが、ちょうど松本民芸館に近いこの古民家を見つけて。もともとこういう昭和の家屋に住みたいなと思っていたので、なるべく現状の雰囲気を生かしました。あとは厨房の周りを新しくしたり、壁に漆喰を塗ったり」と知巳さん。

東京時代と同じく住居と喫茶店を兼ねたことで食材のロスを出さないなどのメリットがあると言います。

「自分たちが普段食べている安全安心な食材をお客さんに提供できますし、普段の食事とクロスオーバーできるのでとても効率が良く、暮らしに無駄がないです」

農家とのつながりを大切に、生産と消費の橋渡し

2階の喫茶店
2階の喫茶店で接客をする、知巳さん

喫茶店の料理はオーガニックにこだわり、妻の詩絵さんと二人で手作りし、そのおいしさにお客さんからは、どこの野菜かよく尋ねられると言います。

「食材の味がつよくてしっかりしていますね。どちらのお野菜ですか?」

「有機野菜にこだわって作っている地元の農家さんから仕入れているんです」

と、お客さんとの会話もはずみます。

 

松本の里山辺地区は、飲食店をやる場所としては理想だと知巳さんは話します。

「松本は都市部があってその周辺に農村部が広がっている。生産地と消費地が密接に関わっている場所で喫茶店を営めたらなと思っていたので、ここは理想の場所だと思います」

 

また、普段は農家の手伝いをすることもある増田さん夫妻。

 

「僕らがアンテナを張って、どんどんネットワークが広がっていければと思い、有機農家さんのお手伝いを積極的にやっています」

 

今年で丸4年がたち、今では農家さんとの強いつながりもでき、生産の現場と消費の橋渡しをしています。

独立型電力システム「オフグリッド」のソーラーパネルを搭載

ベランダ
屋根の上にはソーラーパネルを設置

普段の暮らしについては、「生活に必要なものはなるべく自分たちで用意したい」と話す知巳さん。電力の一部はオフグリッド方式を取り入れソーラーパネルでまかなっています。

「松本は全国的にも晴天率がかなり高いところです。そして、東日本大震災も経験していたので、電力が自分たちでまかなえるライフラインであるといいなと考え、電力会社を通さず自分たちで作る『オフグリッド』でやりたいと思いました。そうすると発電した電気をそのまま使うのでロスがないんですよね」

設置場所の自由度が高い「ロケットストーブ」

調理をする増田さん
左がロケットストーブ

さらに、1階の居住スペースには、ロケットストーブも設置しています。

 

「薪とペレットを両方燃やせるのがロケットストーブの良さです。高温で完全に燃焼すると煙も出ないので、市街地に近い場所でも使えます。今までゴミに出していたような、薪を切り出した時に出る剪定木も燃えるので経済的でもあります。

また、煙突部分を屋根の上にも出せますし、壁の横からも出せるので、設置の自由度もあります。完全燃焼で火力が強いので調理も楽しめます。鉄板を乗せて、お好み焼きや焼き肉などもたまにやります。煙突に仕込んだオーブンでピザやパンを焼くこともあります」

 

住宅地でもアイデアを出し、自然を生かしながら暮らす増田さん家族。今後については、里山の管理をみんなでして、山の自然を豊かに保ちたいと知巳さんは話します。

 

「この場所の、すぐ背後に里山がありますが、今はほとんど手つかずだと思います。山では木材をはじめ、山菜、キノコなども採れ、他にも、シカやイノシシなどがいるので狩猟もできます。また、雨や雪解けで山にしみた水は川に流れ、それが生活用水になります。里山では山の環境を考えない暮らしはありえないと思います。

今後は、みんなでそういったことも考え、持続可能な山の環境の保全などもしていければと思います」

 

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