山あいの築100年の古民家を購入し、リノベーション上伊那
2020年12月25日
プロフィール
お名前
菊地天平さん・ユミさん
年代
30代
居住地
辰野町
居住年数
1年6カ月
- 暮らしの経緯
- 横浜で人材開発のコンサルタントをしながら、2018年に辰野町の古民家を購入し1年かけて改修、その後2019年に家族で移住
- 暮らしの中で大切にしていること
- 使えるものはできる限り長く使い、再利用できるものはできるだけ再利用して自然に優しい生活をする事こと
- これからの暮らしの希望
- この地域に住む人たちが安心して暮らせる『豊かな過疎化』の手助けをしていきたい
- 住まいの変遷
- 横浜の貸家→辰野町の古民家を購入し改修
横浜⇔長野の生活を続け、古民家を1年かけて改修
長野県 上伊那郡辰野町は伊那谷の北端に位置する町です。
日本有数のホタルの名所「松尾峡」が有名で、最盛期の6月には辰野町に多くの観光客が訪れます。
菊地天平さん、ユミさんはこの辰野町の集落にある築100年の古民家を買い取って改修し、2019年、お子さんと家族3人で移住しました。
横浜でコンサルタントの仕事をしていた菊地天平さんと、妻のユミさんは大の長野好きで、新婚旅行も須坂市の仙仁温泉にしたほどで、その後も年に何度も長野県各地へ足を運んでいたそうです。
そんな生活の中、2016年2月に辰野町にある農家民宿に宿泊したことがきっかけで辰野町の田んぼオーナーに。
5月に田植え、6月・7月には草取り、そして9月に稲刈り、2月は味噌作りと毎月のように横浜から長野へ足を運ぶうち、長野の移住への思いがどんどん膨らんでいきました。
そんな折、辰野町のイベントに来ていた菊地さん夫妻は、そこで「集落にある古民家を売りたい」という方がいることを知りました。
思い立ったら即行動、と翌月すぐに古民家を見に行った天平さんはその場で購入を決め、その後2018年に古民家を正式に譲り受けリノベーションを開始。
天平さんは古民家の天井を剥がしたり、壁に漆喰を塗ったり、床下の補強材を入れたりと、できる限りの工事をほぼ一人で行いました。
そんなプロ顔負けの工事をほぼ一人で行っていたという天平さん、もともとリノベーションの知識は全くなく、ネットで実際にリノベをされた方や大工さんのブログなどを参考にして一から調べたそうです。
そんな苦労を重ね、2018年からリノベーションすること約1年、2019年5月に妻のユミさんと娘さんの家族3人で正式に移住しました。きれいに仕上がった我が家を見て娘さんも「ぱぱ、かっこいい。すごい!」と笑顔に。
新建材をなるべく使わない、自然のままの古民家
築110年の古民家を1年がかりでリノベした菊地さんの住居は、できる限り古民家の良さを残したまま、住みやすいよう改修された住まい。
できるだけ自然なものや地域に近いものを使いたいと、諏訪で採れる鉄平石や長野県産カラマツなどを使用し、天平さん曰く「100年前の当時の古民家に近い状態にした」という家。
自然な古民家にするために、断熱材などのいわゆる「新建材」と呼ばれるものはほとんど使用していないため、冬は薪ストーブや囲炉裏に常に火が入っています。友人が訪ねて来た時はその囲炉裏で餅を焼き、もてなすそう。
さらに2階には、岩登りが趣味の天平さんらしい、トレーニング用ボルダリング壁も作り、鍛えています。
また、家の中にある椅子や机はリサイクルショップで購入したものが多いそうです。
「古いものが好きで、古いものは大事に使いたい。直せるものは直して、使えるものはできる限り長く使う。この家もできる限り余計なものを使わず、いずれ自然に還る家にしようと思った。子どもたちの世代にゴミを残したくない」と話してくれました。
温かい地域の輪と四季折々の風景を感じられる生活
企業向け人材開発コンサルタントの仕事をしている天平さん、コロナ前は横浜と辰野町の二地域生活でしたが、現在は辰野でほぼオンラインのみで仕事、ユミさんはヨガ講師と、子ども向け英会話教室を営んでいます。
今の暮らしについて妻のユミさんは「学童がない代わりに、ママさんたちが放課後の子どもたちの面倒を見る、地域の人がみんなで子育てをするという環境が気に入っています。東京では考えられなかったことです」と話します。
天平さんも「都会に比べ、目の前に山などの自然がある暮らしはとても癒される。不便なことも確かにあるけど、日々、四季を感じられる生活はとても気に入っていて満足です」とのこと。
移住当初、横浜に帰りたがっていた娘さんもだんだん辰野町に慣れ、今では進んで川遊びをするようになったそう。
この地が「豊かな過疎化」を迎えられるよう地域の手助けを
菊地さん夫妻に今後のことを伺うと、「できる限りここの地域が“豊かな過疎化”ができるようにしていきたい」と話してくれました。
「人が減る過疎化を止めることはできない、だけどできる限りここに住んでいる人たちが精神面でも金銭面でも特に不自由なく、時間にも余裕のある生き方、本当の意味での“豊かな生活”ができるような地域になったら」という意味だそうです。
その一環として天平さんは、近くの辰野中学で子どもたちへキャリア教育を行っています。
「『地域には何もない』と都会に出ていこうとする子どもたちが多い中、『辰野って面白いじゃん』と思ってもらえるような取り組みができたらいいなと思っています」と語ってくれました。
耳寄り情報
辰野町定住促進奨励金を利用しました