プロフィール
お名前
岩下勉さん
年代
60代
居住地
下諏訪町
居住年数
約22年
- 暮らしの経緯
- 横浜で暮らしながら東京でレストランを経営後、奥さまの実家のある下諏訪町へ
- 暮らしの中で大切にしていること
- 食べ物を大事にする。手作りできるものは作り、三食きちんととる
- これからの暮らしの希望
- 娘が大学を卒業したら、そのあとはお店をやりつつ、もう少しのんびりと日々暮らしていけるようにしたい
- 住まいの変遷
- イタリア時代はホテルの客室に住み込み→帰国し東京では賃貸マンション→結婚し横浜で賃貸マンション→諏訪で住居兼店舗を新築
手頃な価格でレストランを。東京から下諏訪へ。
長野県 諏訪郡 下諏訪町は諏訪湖の北に位置する人口約2万人の町。
かつては中山道、甲州街道が分岐する宿場として栄え、諏訪湖や八島ヶ原湿原、下諏訪温泉、諏訪大社といった人気の観光地を擁する地域です。
岩下勉さんは東京でイタリアンレストランを経営後、1998年に現在の下諏訪町に移住し、「リストランテ ボーノ」を開店しました。
茨城県出身の岩下さんは高校を卒業後、横浜のホテルとインドレストランで修行。
その後「おいしいパスタが作りたい」と強く思った岩下さんは、本場のパスタを学ぶため、言葉もわからないまま勢いで単身イタリアに渡り、現地で本格的なイタリアンを学びました。
その後、日本に帰国した岩下さんは奥さまと出会い結婚、その後、赤坂でレストランを経営。
経営は順調だったものの、家賃の高い東京ではどうしても料理の価格も高く設定せざるを得ず、「もっと気軽に、手軽な価格で本格的なイタリアンを楽しんでもらいたい」と思っていた岩下さんは、東京以外での経営を考えるようになったそうです。
そして、奥さまも下諏訪町に住むご両親のことや、空気のきれいな場所で子育てをしたいという思いもあったことから、1988年に家族で下諏訪へ移住し、住居兼店舗を建てて「リストランテ ボーノ」をオープンしました。
それから22年、今も自家製の野菜を使った料理や週替わりで提供されるランチは多くのお客さまに好評です。
自家栽培の野菜だからこそ、できるこだわりの料理
お店の料理に使われている野菜は、野菜好きの奥さまが畑で作った無農薬の自家製。その種類はジャガイモやトマト、キュウリ・ズッキーニからカボチャ・サツマイモ・オクラ・ナス・ニンニクなど、年間15~16種類と農家さん顔負けです。そんな奥さまの野菜はお客さまから「味がしっかりとしていて力がある」と評判で、奥さまはその言葉を聞くのが何よりも幸せだそうです。
岩下さんも「自然本来のアクがあって力強い」と絶賛する奥さまの野菜を素材にして作った5種類のスープと4種類のパスタソースの販売も好評です。
通信販売でも買えるこのレトルトは、日本全国、北から南までたくさんのリピーターがいて、岩下さんの料理と奥さまの野菜は全国で愛されています。
そんなみんなから愛される野菜を育てる奥さまも「7年くらい畑やっているけど、まだまだ分からないことだらけ」で、実は今でも近所の農家さんにアドバイスをもらいながら、日々工夫を重ねているそうです。
「今はとにかく野菜が愛おしい。来年はもっといい野菜をいっぱい取れるよう頑張りたい」と話してくれました。
自宅はシンプルにして、お店の内装にこだわった
岩下さんは現在、奥さまと二人暮らしですが、近くには奥さまのお母さまもお住まいです。奥さまはお母さまの食事など、生活のお世話もされているため、安心して暮らせているようです。
また、二番目の娘さんがまだ小さかったころは、岩下さんも積極的に子育てに参加され、住居兼店舗の良さを感じていると奥さまは話します。
「主人が東京のレストランで働いていた時は、通勤にも時間がかかっていましたし、お店も忙しく、子育てを手伝ってもらう時間もなかなか取れませんでした。二女が小さかった時はこちらでしたので、主人も子育てを手伝ってくれて、家族の時間も持てて良かったですね」
そして、住宅を建てるときこだわった点について聞くと「当時は横浜に住んでいたんですけど、ネットのない時代でしたので、業者の方が何回も長野から足を運んで打ち合わせをしてくださったおかげで、特に困ったこともなく建てることができました。造りについては、自宅部分よりお店に多く予算をかけてこだわりました」と笑って答えてくださいました。
そんなこだわりのお店の内装は、奥さまが横浜に住んでいた時にお気に入りだったお店がモチーフになっています。木のぬくもりや自然がどことなく感じられる、そんなお店にしたそうです。
お店にこだわった分シンプルになったという自宅部分ですが、ベージュやブラウンといった落ち着いた色合いで統一され、優しい光が差し込む室内は、お二人がゆっくりとくつろげる空間になっています。
年齢に合わせて働き方を変える
現在、岩下さんはお店が休みの日は月に一度、奥さまやお子さんと一緒に高遠の千代田湖まで足を延ばし、デイキャンプやカヌーを楽しんでいるそうです。
今後のことを伺うと、岩下さんはこう答えてくださいました。
「体が動くまでは仕事をしたい。だけど娘が大学を卒業したら徐々に暮らしの形ものんびりした方向へ変えていければ、と思っています。例えば店を夜だけの予約制にして、パスタソースやスープの販売をメインにしていくとか、そんな暮らしがいいですね」