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西洋野菜とハーブで地域に恩返し諏訪

西洋野菜とハーブで地域に恩返し

プロフィール

お名前

佐藤保子さん

年代

80代

居住地

茅野市

居住年数

25年

暮らしの経緯
大阪暮らしの休日に蓼科を訪れた際、6年間住んだイギリスと気候が似ていて体の調子も良く、自然もすてきで、ここしかないと思いました
暮らしの中で大切にしていること
信州の観光名所、横谷渓谷の入り口でもある農園ですので、美しい自然環境を大切に保ちながら人にも安心安全な農業を息子、スタッフ、皆が笑顔で元気に仕事ができるように心がける
これからの暮らしの希望
この地域の後継者たちを応援していきたい
住まいの変遷
大阪時代は庭付きの1軒家の→海外生活では庭付きの貸家→蓼科ビレッジで別荘を購入

四季の彩を楽しむ森暮らし
「ツタカズラが赤くなったから秋が来たかな」

佐藤さん宅の外観と庭
庭の松の木には赤色のツタカズラが螺旋状にまとわり、伸びている

大阪で暮らしていた佐藤さんは60年前に商社マンだった夫と結婚し、以来、夫の仕事の関係でヨーロッパやアジアなど世界中を訪れ、オーストラリアやイギリスなどで12年程、暮らしました。

 

「昔から土いじりが好きで、どこで暮らしても、種をまいて野菜を作っていましたね」と当時を振り返る佐藤さん。帰国後、絵の師匠でもある友達が住んでいた蓼科ビレッジを訪れ、スキーを何度も楽しむうちに、蓼科を好きになりました。

「6年間住んだイギリスのように空気が乾燥していて、体の調子も良く、ここしかない」と25年前に別荘を購入し、現在は夫と息子の3人で暮らしています。「家の周りにお花があったり、森の中で住めるって最高ですね」と話します。

「おなかがすくような、野菜のいいにおい」
採れたて野菜ではじまる森の朝

朝食
写真:佐藤さん提供 朝食は農園で採れる野菜をトーストに乗せ、ハーブのソースをかけミルクティーで
かぼちゃなどの野菜
写真:佐藤さん提供 糸萱地区の伝統野菜、糸萱カボチャも栽培

「初めは定年後の暮らしを穏やかに、別荘に住んで本を読んだり絵を描いたり、散歩したりスキーをしたり、そういう暮らしを想像していました」

しかし、実際に蓼科で暮らしてみると、当時は大きなスーパーなどなく、佐藤さんがイギリスで食べていた大好きな西洋野菜やハーブ類が手に入らなったそうです。

「ラムを焼いてミントジェリーをかけたり、ルバーブをジャムにしたり。イギリス時代の味を懐かしく思っていたら、地主さんが『食べたい野菜を作ってみる?』と畑を借してくださいました。少しずつ作り始めたら、近所のシェフたちが珍しい野菜があると、買いに来るようになったんです。

『こんな野菜ある?』『この野菜作れる?』とオーダーに応えているうちに、何でもそろう皆さんのキッチンガーデンとして自然に大きくなって」

野菜の種は当時、海外で仕事をしていた息子が帰国の度に買ってきてくれたそう。

「当時はこの辺でエディブルフラワーと言われるようなお花を食べる習慣はまったくなかったですからね。彩りのある食卓を楽しむため、自分でいろんなものを作りました」と話し、今では周りの農業人から「蓼科の食のパイオニアですよね」と慕われています。

「定年後に、こんなに楽しい暮らしが待っているとは
思いませんでした」

室内の佐藤さん
種から育て、干してリース作りをするのが佐藤さんの楽しみのひとつ

佐藤さんは、おいしい野菜が育つこの地に感謝の気持ちを込め、地域活動も行っています。

「農作物を作るのにとっても環境は良いし、こんなすてきな場所に住んでいるんだから何か地域に恩返しができれば」と、年々増える遊休農地の有効活用をしています。

 

地域の伝統野菜•糸萱カボチャを栽培したり、景観を維持するための花植え、また、全国から中高生たちの一日農業体験「ホットステイ茅野」の受け入れをして温かな交流も。

「ばばちゃん、ここは、とってもいい匂いだね!農家は大変だと思っていたけど楽しいね!」と皆、生き生きした表情で都会へ帰っていくと言います。

 

そして、農園の一区画で、住民と一緒に農業クラブを主催しています。

「きょうは中央アルプスが良く見えて、風も気持ちいいですね。今年もおいしい野菜ができました」

「それはよかったですね、蓼科の伏流水とお日様、自然のおかげですね」

 

畑ができあがっているため、肥料を入れたり耕したりする必用がなく、佐藤さんのアドバイスもあり植えれば野菜が育つそうで、住人たちも蓼科の暮らしを楽しんでいます。

 農園
 3000坪以上の農園で200種以上の野菜やハーブを栽培

初めは佐藤さんのおなかを満たしていた農園ですが、今では地元の住民の交流の場にもなっています。都会からの客も珍しい野菜に喜び、その子どもたちはトマトのもぎ取り体験をして、広い農園を走り回って遊びます。

 

そんな姿を見て佐藤さんは「やさしくて、ほっとするような、この蓼科の自然。子どもや孫たちは巣立っていきますが、いつまでもここが皆の故郷であればいいなあ」と野菜やハーブのいい匂いに包まれて話します。

 

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