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山あいにある、陶房ギャラリー北アルプス

山あいにある、陶房ギャラリー

プロフィール

お名前

北田よしのさん

年代

60代

居住地

小川村

居住年数

40年

暮らしの経緯
県内駒ヶ根市の出身で結婚を機に小川村へ
暮らしの中で大切にしていること
「使ってくださる方が豊かな気持ちになれば良いな」という思いで陶芸に取り組む
これからの暮らしの希望
ゆったりした時間の中で新しい作品を生み出し、訪れた人にくつろいでほしい
住まいの変遷
駒ヶ根で店舗兼1軒家の実家暮らし→小川村で母屋と蔵と納屋のある暮らし

使われていなかった空間を、リノベーション

母屋の外観
北田家の広い畑に囲まれる母屋(左)と蔵(左から2棟目)と第2ギャラリー(左から3棟目の赤い屋根)、手前はゴボウの葉

約1000世帯•2400人程が暮らす長野県北部の山あいにある小川村。四季折々の美しい自然のほか、雄大な北アルプスの景色や満天の星空が村の自慢です。

 

北田よしのさんは、県内駒ヶ根市から約40年前にここに嫁いで来ました。夫の実家である北田家が代々受け継いできた母屋は、100坪以上ある昔ながらの日本家屋で、60年前に裏山の木を伐採して建て替えられました。離れには、築100年以上となる蔵と納屋が残っています。

3人の子どもに恵まれ、子育てや家事で忙しい毎日を過ごしてきた北田さん。子育てがひと段落し、ふと目に留まった陶芸教室で陶芸を学び、今は母屋の物置きだったスペースと使われていなかった納屋の2カ所を、自身の焼いた陶芸作品のギャラリーにリノベーションしています。

3世代7人の、にぎやかな笑い声ではじまる、家族の朝

北田さん一家
家族に寄り添うように食器棚には北田さんの陶芸作品がずらりと並んでいる

現在、北田さんは、夫、息子夫婦、そして3人の孫と暮らしています。

「3世代一緒ですが、広々とした造りのおかげで伸び伸びとした日常が送れ、にぎやかで楽しいですよ」と話します。

そんな北田さんのある一日は、まだ薄暗い午前2時に、工房の窯の火入れから始まります。

日が昇り始めると、家族のにぎやかな朝食の時間、孫たちが弾く楽しそうなピアノの音、笑い声…。

孫たちが小学校へ登校し、息子夫婦が仕事へ出かけると、にぎやかな時間は過ぎ、夫と自身の焼いた器でコーヒーを飲みながら、ゆったりと一息、夫婦の時間に。そんな毎日を過ごしています。

 懐かしい道具や身近な古材を再利用した空間で過ごす、
コーヒーの時間

ギャラリーの様子
第1ギャラリーでくつろぐ、コーヒーの時間
ギャラリーに置かれた作品

家の庭になるブドウと“葉”をモチーフにした作品

昔からコーヒーを飲んでゆったりとくつろぐ時間を大切にしている北田さんは、「自ら創作した器でコーヒーを飲んでみたい」と、少しずつ陶器を作り始めました。

「当時、何気なく作った作品を見た方が気に入って購入してくれたのがうれしくて、それから陶芸に夢中になったんです」と振り返ります。

以来、自宅の庭や畑で目にする「ブドウ」「ゴボウ」「フキ」「モクレン」などの“葉”をモチーフにした作品を焼きつづけています。

2002年には念願だった陶房とギャラリー「かぜの窯•ギャラリー風ふう」を母屋の中にオープン。

 

土間だった空間を作業場にし、使われていなかった物置きを第1ギャラリーとしてよみがえらせました。

「碍子(がいし)」と呼ばれる電気配線に使われていた絶縁体は昔の名残りで、あえて壁に付けたままにしています。

「碍子ですか?懐かしいですね。なんだか、昔を思い出しますね」

「古い家なので新しいものは似合わなくて...そのままにしてあるんです」

時代を感じさせるモノと北田さんの陶器がさりげなく調和し、訪れる人はそんな会話をして、くつろいでいます。

テーブルは蔵に眠っていた「臼」を出してきて、椅子は敷地にある柿や杉の木を丸太にして使用。

また、作品の展示棚には蔵から見つけ出したケヤキの板を使用するなど、身近にある古材も上手に活用しています。

お茶のみスペースでは、創作した器にコーヒーを入れ客をもてなし、「窓から入る風に吹かれて飲むコーヒーは特別おいしい」と評判です。

もう一つの納屋をリノベーションした第2ギャラリーには陶器のほか、北田さんの好きな花や絵も置かれ、より芸術的な空間で訪れる人を魅了します。

今では近隣の市町村や県外からも「信州いいね、小川村いいね」と、北田さんの作品めあてに客が訪れ、陶器が人と人を結びつけているようです。

 寄り添うように馴染む、皆を笑顔にする北田さんの器

作業場
土間を作業場に

一方、夫は定年退職後も、百姓だった両親から受け継いだ周りの田んぼや畑を守り続けて、農作業をする日々です。

「主人は外で土いじり、私は中で土いじり」と微笑む北田さん。

そんな北田さんを長年近くで見てきた夫は、「お互い、別々の時間を持っていた方が新鮮だし、いいじゃないですか。それに、母ちゃんが作った器は暮らしによく馴染んで、それで飲むワインはなかなかの味なんですよ」と喜んでいます。

北田さんの作品は台所の食器棚にもずらりと並び、家族の暮らしに、とても馴染んでいるようです。

「自然豊かで、ゆっくりと落ち着いた時間が流れる小川村だから、大好きな陶芸を楽しめている。それを支えてくれたお父さんには感謝しないとね」と北田さんは照れながら、夫のそばでコーヒーを飲んでいます。

陶器が家族や訪れる人を豊かな気持ちにし、皆の笑顔が北田さんの陶芸の源になっているようです。

 

ギャラリーに並ぶ作品
自然を感じさせる風合いの作品

 

耳寄り情報

陶芸は、今はありませんが『長野県社会保険センター』で開かれていた陶芸教室で基礎を学びました

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